サロンコンセプト作りの手順

(1)サロンコンセプト作りの手順

zu11

①理念の決定
コンセプト作りにおいて、最も重要なのが、「理念」を決めることです。これが最上位概念になります。
「理念」とは、「経営者の夢・思い」です。「社是」に当たります。ここが決定されていないと何の目標もなくなり何もできません。サロンを経営する場合、まず、「経営者の夢・思い」を紙に書き出し、明確にする必要があります。
たとえば、「我々は、お客様の美の探究をお手伝いすると同時に、それを支援する従業員の夢の実現も目指します」などとなります。経営者の強い思いを「全体を俯瞰した言葉」で表現するパートとなります。

②サロンコンセプト
「理念」が明確になれば、それに「相対性」を加えて、さらに分かりやすく表現します。これが「サロンコンセプト」となります。「相対性」とは、何に対して、どのように「理念」を実現するかということです。それを考えてから、誰にでも分かりやすい短い文章で表すことが重要となります。
その「相対性」を明確化するのに役立つのが「SWOT分析」です。スウォット分析などと呼ばれています。自店を外部環境・内部環境において分析するときに4つの要因に分けますが、その頭文字をとってSWOT分析と言われています。詳細な説明は、「SWOT分析」のページで行います。
この分析で「自店の強み」が明確になります。この「強み」を持って相対化していく訳です。さらに、どのような「強み」があるかが重要になってきますが、サロンコンセプト構築の際、重要になってくるのが、「ターゲットに対する強み」「商品・サービス構成の強み」「競合他店に対する強み」です。この3つの強みをマーケティングリサーチとSWOT分析により抽出します。
従って、サロンコンセプト=「ターゲット」「商品構成」「差別的優位性」の決定ということになります。
そして、この3つを包含した、消費者・従業員に分かりやすい短い言葉を考えることがサロンコンセプト構築ということになります。
たとえば、サントリーの企業コンセプトは、「水に生きる」です。簡潔な言葉でありますが、お酒をつくるときに重要なのは「水」です。その「水」にこだわるターゲットに対し、多くの「水」から製造した商品群をもち、かつ、国内外の清流・地下水の利用を他社に先駆けて開発しているという差別化の3つの要素を包含する、優れたコンセプトメイキングであると思われます。環境に対する問題意識も伝わってきます。
「相対性」を考えないで「サロンコンセプト」を決定すると、ただの“キャッチフレーズのコピーライティング”になってしまうことに注意しましょう。
ちなみに「ブランディング」とは、「設定されたコンセプトに基づく、こだわりのプラスアルファ」のことをいいます。詳細な説明は別のページで行います。

③生存領域
サロンコンセプトが決定されると、それをより具体化するために、「生存領域(ドメイン)」というものを決定します。サロンコンセプトは、相対的な自社の強みを消費者・従業員に告知するものですが、「市場性」を付加して、どの領域で実際の営業を行うのかを決めることが生存領域の決定となります。外部環境を意識して、戦う市場を決定します。具体的には、下記の2つを決定します。

1.立地の選定
ビューティサロンの場合、立地の選定は最重要課題です。新規出店の場合、設定されたサロンコンセプトを実現するためにどのような立地が最適であるのかを考えます。物件の有無によって左右される部分ですが、最適立地を念頭に置いた上での物件調査を行わないといけません。物件ありきになりがちですが、物件によってコンセプトをころころ変えることだけは避けたいものです。
(立地の選定については、別のページでご案内いたします)
一方、すでに出店している場合は、商圏が設定してしまっているので、エリアマーケティングを行い、商圏内消費者に合わせたターゲットの設定となります。

2.さらなるターゲットの絞込み(メインターゲットと戦略的ターゲットの決定)
サロンコンセプト設定の際に決定された「ターゲット」の内容をさらに具体化します。方法は、現状のAランク顧客の属性を店内アンケートや顧客カルテを用いて、売上の中心となっている主要ターゲットを明確化します。絞りきれない場合は、メインターゲットとサブターゲットに分けます。例えば、「メインターゲット:60歳代のエレガントな装いの専業主婦」「サブターゲット:50歳代のエレガントな装いの有職主婦」などとなります。現状、支持いただいているお客様の属性を明確化し、失客のないように努めます。
さらに今後の市場変化を踏まえて、将来的に強化しなくてはならないターゲットも押さえます。これが戦略的ターゲットといわれるものです。例えば、商圏内消費者調査において、30歳代の女性が増加していることが確認されれば、「戦略的ターゲット: 30歳代のエレガントな装いのOL」などとなります。また、ドメイン設定の場合、競合店舗の存在を意識する必要があり、競合店舗調査を行い、自社の現状のポジションを明確化した上で、戦略的なターゲットを設定する作業が必要となってきます。

④基本戦略の立案
生存領域(ドメイン)が設定されると、実際、そこでいくらの売上高を獲得するのか、サロンコンセプトの実現を数値で置き換える作業を行わなければなりません。市場規模とサロンの損益分岐点売上高を分析して、長期的な(3年後)あるべき売上高目標を設定します。多くのサロンを観察してきましたが、ここの部分が欠落しているサロンがほとんどです。これが決定していないので、売上高達成に対する意識の弱さが出てきます。すなわち、個人的な目標売上高の設定が非常に弱くなる理由となっています。

1.潜在的市場規模の計算
商圏内世帯数から美容に関する年間支出金額を算出します。地域別に1世帯あたりの年間支出額が役所から発表されているようでしたら、それを用いて商圏内市場規模を算出します。商圏の設定は都市部の場合は、自店から半径約500m以内を第一商圏として計算するのが通常とされています。(人の歩くスピードは、3.2km/hであり、かつ、日常性購買の場合、10分程度歩くのが限界とされているため)
地方の場合、自動車で移動することが多くなるので、自店から半径約6.6km以内を第一商圏とする場合が多いです。
計算して算出された市場規模を競合店の数で除して、自店舗の潜在的売上高を算出します。(当該商圏からの顧客流出が常態化しているので、実際の売上高が潜在的売上高を越えることはまずありえません。自店舗が当該商圏外から、いくら顧客を吸引し、潜在的売上高を実現しなければならないかということも判断できます。)また、美容室の際、競合店舗の椅子の数を考慮しなければなりませんが、大まかな潜在的売上高はこれで算出できます。
※商圏内の競合店舗数は、タウンページや実際の目視で確認します。

2.予定利益を含んだ損益分岐点売上高の計算
3年後、掲げられたコンセプトを実現しているために、スタッフが何人いて、結果、利益額(経常利益額)をいくらにしたい、という目標を立てた上で、予定利益額を含んだ損益分岐点売上高を算出します。

3.目標売上高の設定
市場規模から算出された売上高と損益分岐点売上高を考慮して、3年後の目標売上高を設定します。決定方法は「経営者の思い」が充分に反映されたものとなります。堅実な経営者であれば、実現可能性の高いもの、大きく飛躍したい経営者であれば、多少実現困難なものとなりますが、市場規模・損益分岐点の考慮に立脚しているので、現実からあまりにもかけ離れた数値にはなりません。

ここまでが、コンセプトメイキングです。よく、キャッチフレーズだけ決定して「コンセプト」と呼んでいるものがありますが、それでは完全に画餅となってしまいます。
将来の売上高まで決定し、数値的に具体化された基本戦略まで落とし込んだものが、あるべきコンセプトメイキングであると考えられます。

これらの作業が終了すると、「マーケティング4P」を活用した短期戦術立案について考慮していきます。

(2)リ・コンセプト
時代が移り変わるにつれて、外部環境と内部環境は必ず変化します。しかし多くのサロンが、その変化に気が付かず、開店当初に設立したコンセプトに基づいて戦略を立てて、サロンを運営しています。これでは高度化した消費者に対応できません。従ってサロンコンセプトも数年に一度見直さなければなりません。見直す周期はサロンによって異なりますが、最近テナントリーシングの際、定期借地権が通常となり、2年ごとの契約となっていることが多いことから、少なくとも、コンセプトの見直し・検討も2年に一回は行うべきであると考えられます。具体的な方法は、設立当初にサロンコンセプトを立案する際に行った、各種のリサーチとSWOT分析を再度行い、前回の分析結果との差異を発見し、機動的にサロンコンセプトの修正を行います。
外部環境に大きな変化がなければ、多少の修正で済むと考えられますが、開店後十数年以上経過し、かつ、スタッフの顔ぶれも変わっているようでしたら、必ず、リ・コンセプトの作業を行い、サロンに新鮮な空気を入れることをお勧めします。

自己紹介

1995年
経済産業省認定 中小企業診断士 登録
2000年
ハタナカマネジメントオフィス 設立
ファッション業界、美容業界を中心に、現場ですぐに役立つ提案と支援を得意としています。
最近では、社会保険導入に関する賃金・給与制度の見直し、社労士とコラボによる就業規則の作成、チームワーク改善、強みの武器化のコンサルティングを行っております。

2013年
BSA(ビューティサービススーパーバイザーアカデミー)専務理事
国際理容美容専門学校 マーケティング講師
2014年
JBCA(日本ビューティコーディネーター協会)1級テキスト作成、アイコーディネーター検定2級テキスト作成

スタイリングマップ講習のご案内

日本ファッションスタイリスト協会が主催しているスタイリングマップは、美容室のマーケティングでは、シンプルで最強のツールになると考えられています。

それに気がついているサロンのオーナー様はまだ少数です。スタイリングマップは、色、形、素材で、それぞれが4つのタイプに別れます。基本的に、パーソナルカラーが軸となっています。これに、さらに造形心理学と素材感がまとめて統一して体系化してあります。

これまで、ありそうでなかった理論で、ファッション&美容の業界ではノーベル賞級の発見です。最近では、それに、行動、感情、対人タイプが重なることが分かり、似合わせのご提案はもちろんのこと、パーソナルな接客まで役に立つ理論です。曖昧なところが非常にロジカルに似合わせが可能になります。

現在、美容室に求められている事は、技術より接客の納得感です。それは、電話の受付から始まり、カウンセリングでその納得感が高まるかどうか、施術中の技術の裏付けの納得感、最後、仕上げの納得感です。この納得感を出せない技術者が多いのは、技術ではなく、納得させるコミュニケーション能力であることが分かってきています。その納得感を感じて頂くコミュニケーションで必要だったのが、スタイリングマップの理論であったわけです。

これをいち早くものにしたサロンが、その地域では、ライフスタイルリーダーになれます。また、マーケティングにおいて、そのスタイル1つをコンセプトにするだけでも、いろんな展開ができます。ここを分かって、それを実践している美容室の経営者は、実は、まだ誰一人もいません。早く勉強して取り入れたもの勝ちです。ファッションの業界では、既に、伊勢丹やユナイテッドアローズなどの大手が取り込み始めており、実は、美容の業界でも大手メーカーが動き始めています。本気で興味がおありになる方、ご連絡下さい。協会代表の相澤先生と一緒に、丁寧に、ご案内していきます。

カレンダー

2018年11月
« 8月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930