美容室経営で大切なこと 19.3年後を見据えたドメインを設定する
次に、これまで整理した「SWOT分析」と、「本質+α」を考えて、きちっとしたドメインを設定します。
8月2日にご案内させて頂いたように、ドメインの設定とは、理念からくる「本質+α」を決めることと、その「ターゲット」を決めることです。「誰に・何を・どのように」をしっかり独自化させることです。3つの軸で捉えることで、もれなく表現することができ、方向性を明確にすることで、その方向性を具体化するための戦略が立てやすくなります。
基本的に、「市場は、創るもの」です。なかなか売上が上がらない時は、新市場を創るしかありません。その新市場を創るために「戦略」を立て、その戦略にあわせて「組織」を組み上げます。その時、最初にやらないといけないのは、はじめにご案内したように、「次の世代のことを」を考えるということです。今、旬の世代は、10年後は新しい世代に取って代わられます。だから早めに、10年後の市場を描くために、10年後のことを良く考えるということです。10年後の新しい付加価値って何だろう?と。そのために3年後は、どうなっていないといけないのか。
ここで、昨今の外国人観光客急増という外部環境の急変を例にとり、「本質+α」のドメイン設定の例をご案内します。ドメインは、「誰に・何を・どのように」を決めることなので、それに沿って決めます。
まずは、誰に(目指すターゲット)は、「子育てが終わり、夫と二人で日本に観光に来たイギリス人女性。結婚して25年。夫は公務員職員。見た目は、スポーティでかつモダンな感じで、イギリスではボランティアをしている。家の庭には、イングリッシュガーデンが広がる。日本大好きマダム。」という風に設定します。
次に、何を(売り)は、「友達よりより綺麗になるが売り。具体的には、日本人の感覚によるカット&カラー。カラーのカウンセリングが丁寧。バリエーション豊富(パーソナルカラリストを養成)。また、日本風なネイルデザインをご案内。室内は、色とりどりな花の装飾。その他、日本の旅、ショッピングのレア情報を楽しめるサービス。」などです。
最後に、どのように(他店と異なるテーマ)は、「イギリス人富裕層を徹底分析。イギリス人用のスタイルブックを作り提案。→施術後、写真を撮らせてもらう。その他、コスメ、健康を切り口に、自然食など、日本食のレシピなどを英語で作る。さらにお土産として、お客様の花言葉の「花」も売る。近所の花屋と提携。ネイルは日本の文化を感じられるようなサンプルを準備しておく。」などです。
番外編で、法律が変わり、宿泊業では、「民泊」が広がってきました。こういうのも機会に捉えると、「宿泊施設と提携」や、地方なら自らが「民泊」を+αとして提供し、外国人の移動の拠点となって、ヘアをして頂くという、ダイナミックなものも生まれてくると思います。
ある会社では、不動産屋さんも経営していて、アシスタントさんがお客様に家を売って、そのマージンをいただいて、60万円も給料を得た話などもあるので、全く無理な話ではありません。
但し、その「民泊」が自社の経営理念や店舗コンセプトにあったものでないと、ただ2件、経営しているだけになるので、経営資源が分散化し、効率が悪くなるので、ターゲットが喜ぶ、しっかりしたドメイン設定(コンセプト設定)を行って、3年後、独自化された店舗経営を目指しましょう。