美容室経営で大切なこと 21.人づくりの基本的な考え方について
美容室の経営では、人づくりが最も大切になります。人が成長するということは、技術力があがる、サービス力があがる、そして、人間性がアップし、ファンがつくということですが、結果的に売上が上がり、サロン全体でいうと、「生産性が上がる」ということです。
「生産性」は美容師さんにとって、おそらく最も関心の深い指標でしょう。生産性の指標は何種類かがありますが、どの指標も、インプット(input:かけたもの)と対比したアウトプット(output:成果)の割合を見ます。どういう事かというと、例えば、2名で売上を100万円作る場合、2名がインプットで、100万円がアウトプットです。30日で100万円の売上を作るならば、30日がインプットで、100万円がアウトプットです。
生産性 = アウトプット ÷ インプット
生産性は、効率性と似ていますが、効率性は「モノに無駄はないか」を見るに適していて、生産性は主に「ヒトは成長しているか」いう事を考える時に適しています。
美容室の業界で最もポピュラーな指標が「従業員一人当り売上高」です。美容室業界の従業員一人当りの売上高の全国平均は約50万円です。これは売上100万円/月の場合、スタイリスト1名、アシスタント1名というケースが多いということです。全国のスタイリストの主担当売上の平均が約100万円ですので理に適っています。
もしも、アシスタントがいなくなっても、一生懸命に動いて、さらに店販品などを売って、売上高が100万円維持できるならその方がいいですが、現実的には一人では、多くのお客様をお相手できないため70万円~80万円までになってしまうことがほとんどです。お給料が18万円のアシスタントがいなくなって30万円も売上を落としてしまえば、その差の利益が減少してしまい、他の固定費が払えなくなってしまいます。
あなたのお店の数字を入れましょう。(人は成長しているか!)
1人あたり売上高 = 月間売上高( )
従業員数( )
<社会保険加入の目安>
よく社会保険に加入するには従業員一人当り売上高が60万円~65万円は必要と言われています。なぜかと言うと、社会保険料はお給料の約28%を労使で折半して費用を賄いますので、お給料の約14%を別の人件費(法定福利費)として支払う必要があるからです。
もし、全員のお給料合計の比率が売上高に対して40%であった場合は、40%×1.14=45.6%となり、社会保険料は、売上高に対して5.6%のコストとなります。だから、単純に社会保険に加入するには、一人当り売上高を50.4万円×1.056で、53.2万円にしなくてはなりません。さらに、ここには材料費の増加分と給与の増加分は含まれていなので、実際には一人当り売上高を、せめて黒字サロン平均の57万円近くまでもってこないと、お金が足りなくなるので、60万円は最低、クリアしなければなりません。