美容室経営で大切なこと 10.ターゲットの絞り方
それでは、今日は、私が行っているターゲットの絞り方を案内していきます。
ターゲットを絞る時に、最もありがちなのが、例えば、「30歳~50歳の主婦」とかです。
そして次に狙うのは「20歳~30歳のOL」というのです。
これでは、女の人全員、と言っているのと同じです。全く絞られていない。
どうしても、年齢と大体の仕事観しか出てこない。年齢で絞るなら1歳の範囲で絞るなら分かります。(この年に生まれた人!ならマーケティング的にも面白い切り口が出来ます)
物差しが間違えているので、今日は、モノサシをご案内します。
物差しは3つありまして、1つ目は「欲求レベル」、2つ目は「らしさ」、3つ目は「ファッションスタイル」すなわち、見た目です。
1つ目の「欲求レベル」とは、マズローの欲求5段階説で、お客さんを細分化するということです。
マズローでは、下の欲求から「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「尊敬(自我)欲求」「自己実現欲求」に分かれます。詳しく調べたい人はウィキペディアなどで調べて下さい。
私が言いたいのは、今、満足しているレベルで購買欲求が異なると言う事です。「生理的欲求」「安全欲求」の段階は、いわゆる「衣食住」を満たしたいレベルです。今の世の中は、お金があれば「衣食住」は満たせます。精神的に、ここにフォーカスしている人は「=お金」にフォーカスしているのと同じなので、何でも安い方がいいのです。だから、「ディスカウント」には相当反応します。少し前に、吉野家さんが100円値上げしましたが、その瞬間に客数が2割も減ったらしいです。たった100円です。また、「尊敬欲求」や「自己実現欲求」を満たしている人は、もうお金ではなく、その価値を見て物を買います。ブランドや骨とう品などもそうで、衣食住がままならない人は、無理をしてでも骨とう品を買うでしょうか。余程のマニアでないと買いません。このレベルの人は、「はい、20%引きです、如何ですか?」では反応しない人が多い。
貴方のお客様は、どちらですか? ちょうど真ん中? 所得もそうですが、心根がどこにあるかです。
そして、2つ目のモノサシは、「らしさ」です。さらに言うと「自分らしさ」。
消費者が自分らしさを構成している要素は、
1.家柄 2.仕事 3.友達 4.ライフスタイル(趣味)
5.ライフステージ 6.TPO の6個で出来ています。
(本当は、「性格そのもの」もあるのですが、先天的な性格は科学的な証明が出来ないので省きます。なんで、同じ家庭環境で育っているのに兄弟では性格が全く違うのか。輪廻転生?信じたい人は信じるしかない世界で、科学的根拠なしです。)
1.家柄はDNAというか血統というか。やはりそれは行動に出ます。欲求レベルのモノサシに近いものがあります。お金持ちに生まれれば自分もお金持ち、貧乏だと自分も貧乏と言う風に格差社会は広がりつつあります。また、商売人のこどもと、勤め人の子どもでは、仕事に対する価値観が根底から違います。ので、自分のお客様はどんな家柄なのか、考えても良いところです。
2.仕事は、そのまま、洋服のスタイルやヘアスタイルに出るので、どんな仕事をしている人か、設定する最重要項目です。固い仕事に人に明るいカラーは勧めてはならないのは、カウンセリングで勉強するところかと思います。
3.どんな友達が多いのか。会社の人なら「仕事」が要素ですし、地元のヤンキーが仲良ければ、その要素たっぷりというところです。
4.ライフスタイルは、趣味と捉えれば良いと思います。それでその人らしさが分かりやすい。健康が趣味(ジョギングやマラソン、水泳な)、お花が趣味、旅行が趣味、ショッピングが趣味など、その人らしさが満載です。
5.ライフステージは、未婚、既婚、学生、社会人、子供(末子)の年齢、孫によって、どうしても自分らしさが変わります。ここが年齢で分類するところと最も近いのですが、昨今は未婚率が上がって来たので、年齢で切りにくくなっています。
6.TPOは、その場の、オンかオフかということ。ですので、ターゲット設定には少し使いづらいですが、結婚式場や仕事の場面がビジネスであれえば、完全にオンの状態のターゲット設定となります。
3つ目は、ファッションスタイル(見た目)
ファッションスタイルには、基本8つのスタイルがあります。これはファッションの専門学校では必ず学習します。
アバンギャルド(前衛的)に対してコンサバティブ(保守的)
マニッシュ(男性的)に対してフェミニン(女性らしさ)あるいはロマンティック
モダン(都会的)に対してエスニック(牧歌的)あるいはフォークロア、ナチュラル
エレガント(上品な)に対してアクティブ(機能的)あるいはスポーティ
最近は、リミックスファッションになっているので、そのままは当てはめづらいのですが、基本ラインは変わりません。
これらが、モノサシです。
これら全てを網羅する必要はないのですが、少なくとも4~5つは考えて、ターゲット設定すべきです。
例えば、「隣の県から夫の仕事(銀行)の都合で引っ越してきて、小学校の子供のネットワークが出来てきたお母さん。見た目は、スポーティでかつモダンな感じで、短時間のパートをしている。仕事場は、近くの花屋さん(フラワーコーディネーターの資格あり)」
このようになります。
完全に1人を想定するペルソナ分析に近いのですが、これぐらい絞ってちょうど良い感じです。そうでないと、チラシ1枚、特徴的なものが出来ません。
ビューティーサロンレスキュー » 美容院コンサル日記美容室経営で大切なこと 9.ターゲットを絞り込む
当方がサロンのオーナーや店長に一番理解してもらうのに苦労する点が、ターゲットを絞るというところです。
アメリアのマーケティングでは、さらにマーケティングが1歩も2歩も進み、マーケティングが自動化(マーケティング・オートメーション)が進み、ITを活用して、誰がどのようなホームページを見たか、何分滞在したか、購入したか、どのページに移ったなどを分析し、行動がつかめるので、どのタイミングで誰に、どんな情報を送ると反応が良いと言ったことが進んでいるようで、こうなると特にターゲットを絞る必要もなく、完全にパーソナルで、あとは品揃えの幅によって、売上の構成が変わってきます。
一方、まだ日本ではそこまで進んでおらず、必ず、絞り込みをしなければならない状況です。漫然としたチラシやメールマガジンでの広告は、もう、ウザったいので誰も見ず、ごみ箱か削除です。
しかし、少しでも自分の価値観に近い、興味深いと思うものを送れば、捨てずに持って帰る。そうでない人はやはりごみ箱に捨てるのですが、持って帰った人の奥まで刺さりやすいものとなります。
美容室は、前日に案内したように、「本質」がカット、カラー、パーマで、「流派」を創設して凄い領域に入る以外は、そうそう違わないので、かなり差別化、独自化しづらいのです。こういう状況で、さらに得意なターゲットを作っておかなければ、最後には、やはり、値段の少しでもやすいところか、愛想のいいところになってしまい、みんなまねのできる範囲で、儲からない領域に落ちて行くことになります。
しかし、美容師さんたちは、非常に優秀な方が多くて、目の前に来たお客様には、だいたい対応することができるので、顧客を絞り込む必要はない、逆に絞り込んだらお客様が減ると思っている人が殆どです。百歩譲って3年前までならOKです。しかし、こんなに店舗数が多くなった今では、特徴がないと、お客様はどこでも良くなるので、固定化しません。ましてや、ホットペッパービューティのお客様は、リクルートさんのお客様なので、いろんなサロンの情報がお客様のところに届くので、ふらっとそちらに行く。経費はサロンが払って、特徴がないために、ふらっとよそに行かれるのです。
一方、10年後に備えて、自社の「本質+α」に沿って、ターゲットを絞る、逆にターゲットを絞って「本質+α」を決め、それを丁寧に、丁寧に積み重ねる。
ここが本当にこれから重要なポイントになってきます。
たとえば、世帯所得700万円以上の主婦で、子供が中学生で、仕事が学校の先生と言う風に絞ったならば、そういう周辺のお客様も反応し、また、それより上の年代の方も反応します。
アパレルの業界では当たり前の話で、20歳代用の服を創ると30歳代が反応し、30歳代ターゲットの洋服は、40歳あるいは、50歳代も反応します。109系のマウジーのいいお客様は40歳代と聞いたこともあります。逆に、40歳代ターゲットの商品には20歳代は反応しません。説明しなくても分かると思いますが、要するに、男女問わず、根底には「いつまでも若く綺麗でいたい」が願望です。しかも、最近は等身大の願望です。ハリウッドスターよりAKB48です。すぐそこにある、自分も参加できそうな願望です。
自店では、どの+αのニーズを満たすのかをハッキリさせて、それに愚直なまでに対応出来るように練習し、作り上げる事によって、着て頂いたときの満足感が違ってくるのです。リピート率も高くなるのです。ホットペッパーから他の情報が送られてきても興味出ない訳です。
次回は、そのターゲットの絞り方をご案内していきます。