美容室経営で大切なこと 13. 3C分析
事前の分析の1つとして、PEST分析や5F分析の他に、3C分析と言うものがあります。
3C分析とは競合を見て、空いているニーズ(市場)を調べて、自社のできることをする、という、3つの視点から事業環境を分析する手法です。ここでまず調査しなければならないのは、市場環境です。市場(顧客)の規模、大きさ市場(顧客)のニーズ、自社の商品サービスに対する顧客、市場の反応、関心事などをチェックします。そもそも出店したエリアに需要がなければ、競合店も自店も営業の継続は厳しくなります。
そして、3C分析で最も重要なのが競合環境です。競合の強み、弱み、経営資源の状況、取っている戦略、業績などを確実に分析します。競合店調査を複数行い、分析することで、ポジショニングマップを完成させるのですが、競合をしっかり調べていないと自社の優位性がどこにあるのかが不鮮明になります。
そして、自社の環境をしっかりつかみます。自社の強み、弱み、経営資源の状況、取っている戦略、業績などを分析します。このように調査して自分のポジションをはっきりさせます。
一般的な例ですが、競合が激しく競い合っているコーヒーショップ業界を例にとります。この例は、かつて、協力していた企業の広報にも使った事例です。コーヒーショップ業界に興味がある方は、こちらも、ご覧ください。http://www.takumimap.com/news_2010020101.html
コーヒーショップ業界は、古くは明治時代までさかのぼれるのですが、30年ほど前までは、一部、チェーン化した企業はありましたが、個人が経営する一般的な喫茶店が殆どの業界でした。現在では、大手のチェーンが市場を席巻するようになりました。最初に店舗数を大きく伸ばしたのは、セルフサービスを中心としたドトールコーヒーなどです。男性ビジネスマンを中心ターゲットとしたものでした。そこではタバコも吸えるし、安く時間も潰すことができるので、想定したターゲットには受け入れられました。200円以下の価格、メニューはブレンドコーヒーとその他、カプチーノなどのコーヒー商品、座席は狭く回転数早いので忙しいビジネスマンにはぴったりでした。しかし、現在では、ビジネスマンもタバコを吸わなくなってきており、さらに女性が気軽に入れる喫茶店が少ないという事情がありました。そこに出てきたのが、スターバックスコーヒーです。最高級コーヒー豆を使用し、品質の徹底追及を行いました。深煎りコーヒーという特徴もあり、さらに甘いコーヒーのレパートリーを広く採用しました。ケーキもクッキーなどに特徴を持たせ、サンドイッチなどもこだわり、軽食がない代わりに、バナナなどを販売。環境にこだわり、禁煙になりました。客層と雰囲気に合わせたBGMにもこだわり、それが女性の支持を受けて、あっというまに全国に広まりました。
コーヒーショップ業界は、スターバックス時代から、その後、マックカフェ急上昇時代を迎え、それに取って代わるのが、セブンイレブンの100円コーヒーで、その反動で、店舗数はまだまだ多くないのですが、ブルーボトルコーヒーに代表されるように、最近にぎやかになってきているのが、サードウェーブコーヒーです。もともとのコーヒーショップの原点に返ったような、そういった循環になっています。
スターバックスコーヒーがなぜ事業を拡大できたかというと、これまで、欲しかったけれどもなかったゾーンを埋めたからです。そういった、主要成功要因、事業を成功させるための必要条件をKSF(Key Success Factor)といいます。スターバックスコーヒーのKSFは、コーヒーの味わいとゆとりのある空間で、女性が手軽に会話を楽しめる、現代の「甘味処」であった訳で、彼らはそのことを「サードプレイス(第三の場所)」と呼んでいます。
このように、3C分析は、自らの事業コンセプト形作る「KSF」を見つける分析です。
ビューティーサロンレスキュー » 美容院コンサル日記美容室経営で大切なこと 12. 5F分析
会社を経営するときに、最初に、このまま仕事をはじめて大丈夫かなと思っていませんでしたか。私もちょうど16年前、会社を辞めて診断士の仕事、やり始めましたが、今から思うと、診断士なのにもっと調査してから独立したら良かったと思います。診断士という国家資格は持っているんですが、要するにペーパードライバー状態で、一生懸命やればどうにかなる!と思って独立しました。取りあえずは16年間、大変でしたけど何とかなり続けている訳ですが、最初の調査がほとんどやっていないので、いろんなことに時間がかかり過ぎているとよく思います。16年もあったのにこんなもんか、と思います。皆さんにご案内するように最初にちゃんと4つの分析、「PEST分析、5F分析、3C分析、SWOT分析」をやってから取り組むべきと思います。時間がかかり過ぎます。
それまでの経験は全く無駄になってなくて、人生そのままの経験がコンサルで活かされているのですが、金銭的にもビジネス的にも、もっと「ニッチ」で「成長性」のある市場のコンサル分野をキズければ築ければとも思ったりしています。
縁あって、美容室のコンサルや、製造業のコンサルをやっておりますが、お客様が大変なので、そんなに多くのコンサル料を頂く気持ちになれない。決算書みれば、これ、頂きづらいとなるのです。それを儲かるようなるまで、お店のみんなと頑張っているのですが、1軒1軒なんで時間がかかるんです。時間がかかるとどうなるかというと、他のコンサルには、畑中1軒1軒丁寧にやり過ぎ、入り込み過ぎとよく言われ、いや、良くなるためには入らざるを得ない、最終的には人間関係のちょうつがい役みたいなことになります。これはこれで仕事なのですが、それよりも戦略的に自分自身のマーケティングをしっかりやらなければと思います。それには「ニッチ」で「成長性」のある仕事に取り掛からなければならないのです。これを見つけ出す方法を伝えたい。一緒になって、これだと見つけたら何が何でもやり抜くといったスピード感が必要です。その、これだを見つけるのが、いろんな市場調査だと思います。
5F分析とは、業界内の競争に影響を与える要因を5つに分類し、それぞれの力の強さや関係性を分析することで、業界構造の特徴を明かにするものです。
【5Forces】
- 既存競合者同士の敵対関係
- 新規参入の脅威
- 代替製品・代替サービスの脅威
- 買い手の交渉力
- 供給者の支配
例えば、美容室業界でこれを当てはめると、
1.既存競合者同士の敵対関係
・業界飽和・過当競争
・生き残りをかけた戦い
2.新規参入の脅威
・30歳代の強い独立願望
・他業界の資本、カット専門店、カラー専門店、面貸し店の増加
・外国人向けに取り組んでいるサロンが出始めている
3.代替製品・代替サービスの脅威
・ドラッグストアでの美容商材販売
・インターネットでの美容商材販売
・簡単なホームカラー
4.買い手の交渉力
・消費者の可処分所得減少
・不景気で節約志向
・本当に必要なものを吟味
・外国人観光客は増えている。爆買いは沈静化したが2000万人/年の勢い(人口の1/6)
5.供給者の支配
メーカー
・早い新商品開発スピード
・多様なメーカーがある
ディーラー
・安いがものを運ぶだけのところもある
・やや高いがサロンサポートもしっかり
ネイリスト協会等
・ネイルはお土産になる
などの要素をあげて、何が「ニッチ」「成長性」に当たるかをしっかり考える。
「好きで成長性」があることをやりましょう!
次回、この流れで、商品のライフサイクルについて案内します。